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第29話:液体肥料が切れた夜

仕事帰りの電車

仕事を終えたゆうとは、終電に近い電車へ乗り込んだ。

座席に腰掛けると、スマートフォンでニュースを開く。

そこには、大きな見出しが並んでいた。

  • 日銀が金融政策決定会合で利上げを決定
  • アメリカとイランの関係改善に期待
  • 日経平均株価7万円突破

「仕事が忙しくて、ちゃんとニュースを見る余裕もなかったな……。」

市場は毎日動いている。

世界ではいろいろな出来事が起こり、そのたびに株価も為替も変化していく。

「正直、何がどう影響するのか、まだ全然分からないや。」

投資を始めてまだ一年もたたない。

仕事だけでも精一杯なのに、市場まで完璧に理解するなんて、とても無理だった。

そんなことを考えているうちに、最寄り駅へ到着した。

静まり返った部屋

夜風を受けながら歩き、ようやく自宅へ帰る。

最近は終電近くまで働く日も珍しくない。

気づけば日付が変わっていることもあった。

玄関を通り、部屋の明かりをつけた、その瞬間。

「……え?」

部屋の隅にいるはずのヒカッパが、ほとんど光っていない。

ゆうとは慌てて駆け寄った。

葉は力なく垂れ下がり、いつもの元気な緑色も薄れている。

淡い光だけが、かすかに揺れていた。

「ヒカッパ……!」

胸がざわつく。

そういえば、水をあげたのはいつだっただろう。

先週……だったかな。

忙しさに追われるうちに、すっかり忘れてしまっていた。

焦りと後悔

ゆうとは急いで棚から液体肥料を取り出した。

ボトルを手に取る。

その瞬間だった。

カラッ……。

嫌な音だけが部屋に響く。

ボトルを逆さにしても、数滴しか落ちてこない。

「そんな……。」

ゆうとは思わず立ち尽くいた。

「どうして気づかなかったんだ……。」

忙しいことを言い訳にして、残量を確認することすら忘れていた。

ヒカッパは何も責めない。

ただ静かに、小さくしおれているだけだった。

その姿が、ゆうとの胸を強く締めつけた。

必死の応急処置

残っていた数滴を水へ混ぜる。

ゆうとはそっと根元へ注いだ。

「お願いだ……。」

「もう少しだけ頑張ってくれ。」

しばらくすると、ヒカッパはかすかに光を取り戻した。

それでも、いつもの元気な姿にはほど遠い。

ゆうとは拳を握り締める。

「僕がちゃんと見ていれば……。」

「こんな思いをさせなくて済んだのに。」

その夜は、なかなか眠ることができなかった。

翌朝、「液体肥料の定期購入」の決意

翌朝。

いつもより早く起きたゆうとは、スマートフォンを開いた。

液体肥料の購入ページを表示する。

そして迷わず、「定期購入」のボタンを押した。

「もう切らしたくない。」

「忙しくても、大切なものだけは守りたい。」

画面には、『毎月お届け』という文字が表示される。

その瞬間。

ヒカッパの葉がふわりと揺れた。

昨日より少しだけ、優しい光が戻っていた。

まるで、ゆうとの決断を喜んでいるようだった。

ゆうとの気づき

ゆうとは、穏やかに微笑んだ。

「仕組み化って……」

「楽をするためじゃないんだね。」

「大切なものを守るための準備なんだ。」

忙しい日は、誰にでもある。

だからこそ、人は忘れてしまう。

失敗してしまう。

だから仕組みがある。

積立投資も同じ。

毎月自動で積み立てる仕組みは、資産形成をさぼるためではない。

未来の自分と、大切な資産を守るための仕組み。

ヒカッパは、その言葉に応えるように、部屋いっぱいへ優しい光を広げていった。

「じゃあ、今日も仕事に行ってくるね、ヒカッパ。」

今回の学び

仕組みは、大切なものを守るためにあります。 忙しいことは悪いことではありません。 しかし、人は忙しくなると、大切なことほど後回しにしてしまうことがあります。 積立投資や家計管理を「仕組み化」するのは、楽をするため・ほったらかすためではなく、 大切な庭(資産)の手入れの時間を作りだすためです。つまり、「仕組み化」は長く育て続けるための工夫なんです。 一度作った仕組みは、忙しい日でも、疲れた日でも、あなたの代わりにコツコツ働いてくれます。 資産形成の庭は、努力だけでなく、仕組みによっても育っていくのです。

   

関連ページ: STEP3:積立を自動化するための支払い・管理の考え方STEP4:積立設定を行うときの基本的な流れ