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第1話:光るタネとの出会い

その日は、いつもの帰り道だった。夕暮れが街を優しく包み、商店街のシャッターが静かに閉まっていく時間。

ゆうとは、直木三十五のお墓のある小さなお寺のそばを歩いていた。(子どもの頃から何度も通った道だった。)

通学路でもなく、特別な用事があるわけでもない。ただ、帰り道として、当たり前のように歩いてきた道。

これまで、何も起きたことはない。今日だって、いつもと同じはずだった。ーーけれど、今日は違った。

ふと、足元に違和感を覚えた。

ゆうとは、ふと道端に置かれた古い植木鉢の脇で、淡く光る何かに気づいた。

夕暮れの道端で、主人公ゆうとが淡く光るしずく型のタネを拾うシーン
ゆうとと光るタネが出会った場面

近づいてみると、それは「タネ」のような形をしていた。直径は小指の先ほど、しずく型で、内側から柔らかく光を放っている。

ゆうとは、なぜかすぐには手を伸ばせなかった。ここが、あの作家が眠る寺の近くだからだろうか。それとも、ただの偶然とは思えなかったからだろうか。

この街には、物語を書く人が生き、物語を書き終えた人が眠っている。そんな場所だからこそ、今日の出来事がただの偶然には思えなかった。

「……どうして光ってるんだろう」 ゆうとは思わずつぶやいた。最初は街灯の反射だろうと思ったが、違った。光は内側から、まるで小さな鼓動のように揺れていた。

恐る恐る手に取ると、タネは温かさを帯び、ほんの少しだけ光を強めた。伝わってくるのは、驚きでも恐怖でもなく、どこか穏やかな安堵のようなものだ。

その瞬間、物語は、始まった。

「誰かの忘れ物かな……?」 周囲を見渡したが、人影はない。奇妙な景色に戸惑いながらも、ゆうとの胸には不思議な感覚が芽生えていた。放っておけない、と。

なんとなく、ゆうとはタネをそっとポケットにしまった。家に持ち帰って様子を見よう——そんな軽い気持ちだった。

家へ帰る道すがら、ゆうとは何度もポケットの中を手で押さえた。タネは、たしかにそこにいる。暖かく、微かに光っている。

タネの温もりを感じながら、ゆうとは小さく息を吐いた。 「どうなるか分からないけれど……まあ、まずは見てみよう」 そんな呟きを自分に言い聞かせながら、ゆうとは足を速めた。

※ここではまだ光るタネに名前をつけません。出会いの瞬間――静かな序章としての場面です。次のお話で、水耕栽培から育てる日常が始まります。

今回の学び

大切な出会いは、特別な場所ではなく、いつもの日常の中にある。
資産形成の第一歩は、知識よりも「気づき」と「向かい合う勇気」から始まる。