第23話:ゆうとと中東情勢2
膨らむマイナス
ゆうとは、再び資産画面を開いた。
かつてはプラス7%だった評価額は——
今や、マイナス11%まで落ち込んでいた。
一か月間前の出来事とは思えなかった。
積み上げてきた時間が、一気に崩れたような感覚。
「もう……辞めたいな」
本音が、ぽつりとこぼれる。
これ以上下がったらどうなるのか。
どこまで耐えればいいのか。
答えは、どこにもなかった。
諦めない勇気
そのとき、スマートフォンの画面に残るメールが目に入る。
——「ゆうとくん、大丈夫?」
みおな先生の言葉が、頭の中で静かに響いた。
ゆうとは、ゆっくりとヒカッパを見つめた。
不安そうだったあの表情。
それでも、どこか信じているような目。
「……ヒカッパ」
「俺、逃げないよ」
「積み立ては止めない。辞めない、諦めない」
「約束する」
言葉にした瞬間、少しだけ心が軽くなった。
不安は消えていない。
それでも——向き合うことに決めた。
嵐のあとに
——それから、1ヶ月。
世界の株式市場は、依然として不安定な動きを続けていたが、
徐々に落ち着きを取り戻し始めていた。
中東情勢にも、変化が見え始める。
「停戦に向けた協議が進んでいます——」
そのニュースが流れたとき、市場は静かに反応した。
下げ続けていた株価が、反転し始めたのだ。
ゆうとは、再び資産画面を開く。
数字がプラスに戻っている。
あれほど恐れていた下落は、永遠には続かなかった。
ヒカッパが、少しだけ元気な表情を見せている気がした。
「大丈夫だったな……」
そうつぶやくゆうとの声には、ほんの少しの自信が混じっていた。
短期(例えば1カ月)の下落は避けられません。恐怖の中での判断が、将来の結果を左右します。 積立投資は「続けること」自体に価値があります。株式市場はやがて回復する可能性があります。