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第13話:静かに根を張る日

数字が動かない静けさ

夜、ゆうとは机に向かっていた。パソコンの画面には、投資アプリのチャートが表示されている。 しかし資産の損益は昨日とほとんど変わっていない。

〈「……全然動かないな。」〉

最初は毎日変化があるのが楽しかった。少し上がれば嬉しいし、少し下がれば心臓がざわついた。でも今日はただ、静かだった。

ふと横を見ると、窓際のヒカッパが白い照明の受けて光っている。昨日と同じ姿。今日も同じ姿。動いた気配はない。

〈「お前も……止まってるように見えるよな。」〉

みおな先生からの教え

ゆうとはカメラを手に取り、ヒカッパの写真を撮る。それから、みおな先生のメールアドレスを開き、簡単な言葉を添えて送った。

送信ボタンを押すと、ゆうとは深く息を吐いた。結果が見えない時間ほど、心は落ち着かない。

次の日の晩、メールの着信音が鳴った。みおな先生からの返信だった。

ゆうとは読みながら、思わず姿勢を正した。みおな先生のメールは続く。

未来の準備期間

画面の文字を追いながら、ゆうとは心の中でつぶやく。

〈「――変わらない日も、意味があるんだ。」〉

ヒカッパを見ると、葉がゆっくりと揺れた。風のせいか、ただの偶然か。それでも、さっきまでより心に響いて見えた。

もう一度、アプリを開く。数字は変わらない。けれど、その静かな画面が今は不安ではなく、未来の準備期間に見えた。

ゆうとはスマホの画面をタップし、返信を作成した。

送信し、ゆうとは椅子にもたれた。

今日も変化は少ない。でも——続けていかなくちゃと思えた。

ヒカッパは、静かに光をまとっていた。

投資の静かな時間は、淡々と「積み立てを継続する」という最も大事な習慣を育んでいる証拠です。 目先の数字ではなく、長期的な視点で根を張りましょう。