第16話:ハイリターン部門(ファンドアワードのアンケート)
回答ボタンの前で
楽天証券の画面を開き、第9回ファンドアワードのアンケートページを眺めていた。
アンケートか、面白い。やってみよう。
なになに?「ハイリターン部門」
正直、この部門は自分とは少し距離のある場所だと思っていた。
私は、低コストのインデックスファンドを長期で積み立てる人間だ。
それでも、アンケートページを閉じることはできなかった。
迷いと、ちょっとした期待
アンケートに答えようとして、候補ファンドの一覧を見た瞬間、心が少しだけ動いた。
私が普段から注目しているファンドが、2つもノミネートされていたからだ。
「やっぱりか」と思った。
自分の見てきたものが、まったくの見当違いではなかった。そのことが、素直に嬉しかった。
並んでいた2本
- iFreeNEXT FANG+インデックスファンド
- Tracers S&P500ゴールドプラス
どちらもインデックスファンドで、どちらもハイリターンか。
確かにそうだが、この2つって考え方はまったく違うファンドだぞ。
回答ボタンの前で考えたこと
iFreeNEXT FANG+インデックスファンドは、成長株に極端に集中したインデックスだ。
シンプルで分かりやすい。NISAの積み立て投資枠・成長投資枠に対応している。
一方で、Tracsers S&P500ゴールドプラスは、株式にゴールドを組み合わせ、 さらにレバレッジという仕組みを使っている。 NISAには対応していない。
ここで、僕は悩んだ。
思想か。設計か。それとも、結果か。どちらがハイリターンファンドにふさわしいか悩んだ。
そして、最終的に私が投票したのはTracsers S&P500ゴールドプラスだった。
理由は、驚くほど単純だ。
こちらの方が、リターンが高かったからだ。
きれいな理屈ではない。でも、投資をしている人間として、正直な判断だった。
公開された結果
しばらくして、ファンドアワードの結果が公開された。
最優秀賞に選ばれたのは、iFreeNEXT FANG+インデックスファンド。
そして、Tracers S&P500ゴールドプラスは第2位だった。
僕の回答とは、逆の結果だ。
だが、不思議と悔しさはなかった。
正直に言えば
読者の皆さんは、ここまで読んで「じゃあ、どっちを積み立てているんだ?」
と思った人もいるかもしれない。
正直に言う。
僕は、iFreeNEXT FANG+インデックスファンドも、Tracers S&P500ゴールドプラスも、 両方を積み立てている。
1位か、2位か、正直、どちらでもいい。
なぜなら、私は最初から「どちらか一つを選ぶ人間」ではなかったからだ。迷ったら両方買うのだ。
ハイリターン部門が教えてくれたこと
ハイリターン部門は、正解を教えてくれない。
代わりに、自分が何を基準に動いているのかをはっきりと映し出す。
僕は、設計思想も見るし、数字も見るし、結果にも心が揺れる。
そして結局、矛盾したまま、両方を少しずつ積み立てる。
それが、私という投資家だ。
本サイト「資産形成の庭」には、一位のファンドも、最優秀と言われる答えも置いていない。 あるのは、アンケートの回答ボタンの前で立ち止まり、それでも続けていく一人の投資家の記録だけだ。
僕が次に目を向けたのは、NISA積立部門だった。
・関連リンク:コラム1(NISAで大事なのは「どう使うか」です)
・関連リンク:コラム3(ゆうと流 金融商品の選び方)