第32話:資産形成は「自分のため」から「みんなのため」に
みおな先生からの返信があった夜
平日の夜。
仕事から帰ってきたゆうとは、パソコンを開いた。
「みおな先生から返信が来てる!」
少し緊張しながらメールを開く。
差出人:みおな
件名:Re: ユニセフ募金を始めたいと思いました
ゆうとくんへ
こんにちは。
メールありがとう。
資産形成もヒカッパのお世話も順調そうで安心しました。
SDGsについて興味を持ち、
自分にできることを考え始めたこと、
とてもうれしく思います。
ゆうとくんは、誰かの未来を思って行動できるようになったのね。
それは、心が少しずつ成長している証だと思います。
資産形成は、自分の未来を守るために始める人がほとんどです。
でも、長い目で見ると、社会を支える仕組みの一部に
つながっていると考えられることもあります。
だから、自分のために始めたことが、
巡り巡って誰かの未来につながることもあるのよ。
最近は中東情勢の影響で市場が大きく動いて、不安な日もあったわね。
それでも積立を続けてきたことで、
ゆうとくんは相場の変動に少しずつ向き合えるようになってきたと思います。
そして今は、その経験が「自分以外の誰か」のことを考える
心の余裕につながっているのかもしれませんね。
楽天ポイントを募金に使うという考えも、とても素敵だと思います。
無理のない範囲で、自分にできることを続ける。
その気持ちを、これからも大切にしてください。
みおな
メールを読み終えたゆうとは、ほっと胸をなで下ろした。
みおな先生の言葉が、胸の奥で静かに広がっていく。
「心が成長した証……か。」
「すっ……すごい。」
その言葉は、ゆうとの中でゆっくりと形を持ち始めた。
ゆうとはヒカッパの鉢を見つめた。
「ヒカッパ。」
「僕はこれから半年に一度、楽天ポイントで日本ユニセフ協会へ募金してみるよ。」
「無理をしない範囲で、少しずつ続けていこうと思う。」
ヒカッパは、いつもより少し深い色を帯びた光で応えた。
その光は、ゆうとの胸の温かさと同じリズムで揺れているように見えた。
ゆうとも自然と笑顔になる。
そのとき、新しいメールがあることに気づいた。
「もう一通?」
みおな先生からだった。
差出人:みおな
件名:ヒカッパは元気?
ゆうとくんへ
そういえば、ヒカッパは元気ですか?
もしよかったら、今度植物園へ遊びに来ませんか。
ヒカッパの写真も見せてください。
ゆうとくんの心が成長したように、
ヒカッパもきっと成長していると思います。
楽しみに待っています。
みおな
ゆうとはすぐに返信を書いた。
差出人:ゆうと
件名:Re: ヒカッパは元気?
みおな先生へ
こんばんは。
ありがとうございます。
来週、ヒカッパの写真を持って植物園へ伺います。
久しぶりにお会いできるのを楽しみにしています。
よろしくお願いします。
送信ボタンを押すと、ヒカッパの光がふわりと揺れた。 その揺れは、来週への期待を静かに灯すようだった。
「よし。」
「来週は、みおな先生にヒカッパを見てもらおう。」
そう思うと、植物園へ行く日がいつもより少し特別なものに感じられた。
「自分のため」が「誰かのため」につながることもある
資産形成を始める理由は人それぞれです。 「老後に備えたい」「将来の夢をかなえたい」「家族を安心させたい」など、多くの人はまず自分や家族の未来のために資産形成を始めます。 それは、とても自然なことです。 一方で、積立投資は企業へ資金が流れる仕組みの一部でもあり、その企業が事業を続けることで、社会や経済を支えることにつながると考えられています。 また、将来への不安が少しずつ和らぐことで、周りの人や社会のことを考える心の余裕が生まれることもあるでしょう。 もちろん、資産形成だけで社会の課題を解決できるわけではありません。 しかし、自分の将来に備えながら、「自分にもできることはあるかな」と考えるきっかけになることはあるかもしれません。 大切なのは、無理をせず、自分に合った方法で続けることです。 資産形成は、自分の未来を育てること。 そして、その積み重ねが、巡り巡って誰かや社会につながることもある――そんな視点を持つことも、豊かな資産形成の一つと言えるのではないでしょうか。